付着歯肉はその裏打ちとなる骨の有無を表しているといえます。
歯周病がすすみ頬側の骨を喪失すると狭小な顎堤となるうえ付着歯肉も喪失することが常です。
SplitCrestを併用した自家歯牙移植により、歯槽骨の幅と高さを回復しました。
術前術後を比較すると失われていた付着歯肉も回復し(青矢印)、歯根膜による歯周組織再生が確認できます。
上:術前、下:術後。右上7残根を抜歯後、予想される歯槽骨のラインは黄色でしょう。
右上8の移植も検討しましたが、あまりに貧弱なため断念。抜歯後上顎洞へは5mmしかないためSocket Liftを経て、歯根膜が多くて有利な右下を自家歯牙移植しました。移植された歯根膜により緑ラインまで骨が再生、赤線が今回の成果です。
カルテをパラパラ広げていたら面白いケースがいくつか。その1
20代女性。右下6は根尖まで骨がなくhopelessといっていいでしょう。抜歯窩治癒後の骨のラインは当然黄色線
右下8を自家歯牙移植(赤線)。残存歯の歯根膜と移植歯の歯根膜が連なり青線は大きなアタッチメントゲイン。最終補綴までにはもう少し経過観察。
(本ブログリピーターBさんのリクエストにお応えします)
'05初診40代男性。右上764、左下67残根で抜歯。残存歯は
5 3 11234567
765432112345 8 EichnerB-2 でしょうか。
治療計画は 右下7を右上6部へ 左下8を左下7へそれぞれ自家歯牙移植
結果として
❻5 3 11234567
65432112345 ❼ 右1歯短縮歯列ながら EichnerA
術後5年経過しました。
右下7から移植した右上❻、左下8から移植した左下❼ともに、固有歯槽骨も追えてまずまずな治癒です。もちろん咬合は安定し全顎的にも何ら問題ありません。OK〜!
2年半にわたり歯周治療をしてきたが一向に緩解しないとのことで、前担当医からの紹介で当院に引き継ぎとなった40歳代女性:05初診〜'09メインテナンス のX-Pの比較です。
骨レベルが歯根膜に引き上げられたかのように再生しています。
右上4根尖まで露出するほど著明な歯根露出を伴った重度歯周病です。さらに
左上8が低位にあり、歯冠長が短くてブリッジの支台歯にはなりません。
歯周初期治療の後、外科的挺出
一旦抜去のあと180°回転して再植(緑矢印)
ブリッジの支台歯となることができました。
術前術後の右上4(青矢印)の変化にもご注目ください。
40代男性.右上467 左下67欠損
臼歯部咬合崩壊 EichnerB-2です。
右下7を右上6部へ、左下8を左下7部へそれぞれ移植しました。
前歯の補綴も完了し、咬合が再確立されました。
左下4外傷性咬合で脱落後の歯槽堤とデンタルです。
粘膜骨膜弁を剥離すると頬側には骨の裂開があるうえ骨幅がドナー歯より狭いため、通常の移植は不可能です。
自家骨削片を歯根膜と骨膜の間にはさみこみ自家歯牙移植と骨移植です。
印象前です。
移植歯周囲に付着歯肉がしっかり存在することから骨膜歯根膜が無事に再付着していることがわかります。