院長ブログ

カテゴリ「歯根破折」のブログ記事

22OCT

最後方臼歯崩壊の防波堤!?

2012年10月22日
咬合力が強くかかる症例では当然のことながら最も力を担う後方の臼歯から順に壊れてゆくことが多い。
ほしば小.jpg
'02 8 右下7遠心根歯根破折を起こしたためへミセクションして近心根保存するも'03 12歯根破折。脆弱な歯質に加え咬合力を担う最後方咬合支持歯の破損を食い止めるべくインプラントを植立し、右下6外科的挺出。骨内にある健全歯質、歯根膜はわずか2mmとかなり心許ない状況であるにもかかわらずインプラントに護られて8年経過した。右下6遠心根周囲の歯槽骨頂線の明瞭化に注目したい。

22APR

ブラキシズム〜歯根破折

2012年04月22日
下記症例の左側。'98 5初診。左下5歯根破折で抜歯、7根管治療終え保存するも歯質は脆弱。Virgin Teeth「4との連結を避ける目的で欠損部には2本のインプラントを埋入し'00 2メインテナンスに移行。ブラキシズム根分岐部.jpg
7年後、近心根に歯根破折〜Hemisection. その後5年経過し現在は安定している。
当初から脆弱な歯質であることは承知の上だったが、保存し7年間の時間が保てたことには意義がある。また56のインプラントを配することで4との連結を回避したことは4の保全に有効だった。初診から14年、補綴から12年メインテナンスが継続中。
22APR

根分岐部病変2度:失活歯+ブラキシズム

2012年04月22日
'00 2 右下72度、右下6は3度。それぞれフルーティングと歯冠分割で対応し補綴 
'02 8 右下7遠心根歯根破折発生
失活分岐部1.jpg
 '02 11遠心根抜根し近心根のみ補綴 しかし約1年で近心根も破折。夜間就寝時のブラキシズム。'04 4右下7部にインプラント埋入 しかし免荷期間である'04 8に近心根歯冠破折
失活分岐2.jpg
左:わずかな歯質しか残らないものの外科的挺出で保存 右:8年経過。最後方歯に受ける応力を支えられるとは思えないが、インプラントが防波堤となっていること、また歯根破折を契機に自己暗示療法、ナイトガードに積極的に取り組んでくれたこと、が幸いして予後は良好。現在メインテナンス良好に継続中。

24MAR

歯根破折のCT画像

2010年03月24日

右下7遠心根が垂直破折しています。近心根保存を試みましたが離開不充分で分割できず断念、抜歯。問題は右下5です。前医にて再三の根管治療を経て根充したが頬側のフィステルがきえない、との由。
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臨床症状、口腔内での他の部位の徴候をデンタルと重ね合わせて考えれば歯根破折であることは術者にはわかります。しかし患者さんによりよく理解をいただくためCT撮影です。
%E6%AD%AF%E6%A0%B9%E7%A0%B4%E6%8A%98CT%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg
左:CTデータから合成したボリュームレンダリング、きれいに破折していることが目で見てわかります。これなら抜歯も納得でしょう。右:抜去歯牙です。ほらね。
 PS. この春、「デンタルハイジーン別冊・‘力を学ぼう_徴候に気づく、破壊を止める、未然に防ぐ」と題する入魂の好著が出版されます。必見です!本ブログ読者各位はもれなくご予約ください!!

29MAR

マイクロスコープの功罪?

2008年03月29日

私の歯科臨床に不可欠な道具と思えていたマイクロスコープですが、LED懐中電灯の登場で使用頻度がさらに増えました。困ることはマイクロスコープで見なければ知らずに済んだことをまさに「目の当たりに」突きつけられてしまうことです。
昨日一日で4例も歯根破折を確認してしまいました。これは異常な数です。

破折線.jpg
上3例は臨床症状から察しはついていたことを眼でみて確認できたケース。
下はいくら根管治療をしても打診痛がきえないため「もしやと思ったら、やはり、、、、」のケースです。
破折線2.jpg
多くは無症状に経過しているものの実際には失活歯のなかでかなり高い割合で歯根破折が存在するのでしょう。
「軽微な症状があるけれど理由がわからない」のは術者としてそんな歯がゆいことはありませんし患者さんから「ヤブ○○」呼ばわりされるのは不本意です。なので確定診ができることはいいのです。でも歯根破折となると「なすすべない予後不良宣告」であり、術者患者さん双方にとって不幸なことなのです。それを「知る」こと「告知されること」がほんとにいいことなのか悪いことなのか、、、。

19JUL

歯根破折かエンド病変か

2007年07月19日

病変発見.jpg
左:初診時、不適合なクラウンに2次カリエスであるものの5の根尖には問題ないようにみえたので根管治療のやりなおしはせず、メタルコアとクラウンを新製しました。
右:欠損していた上顎の補綴を終えたので咬合できるようになり、メインテナンスに移行するためにデンタルを撮影してみると5の根尖にX線透過像が、、、。
 咬合力が加わるようになったため歯根破折をおこしたのでしょうか!?

顕微鏡精査.jpg
根尖病巣であってくれれば治療はできるが歯根破折なら予後は悪い。いずれなのか確定診断をつけるため、メタルコアを外したうえでマイクロスコープで観察しましたが、どうしても破折線はみあたりません。
歯根破折とは断定できなかったので、根管治療を行いました。

根充5年後.jpg
左:根充直後  右:根充5年後のX線写真です。X線透過像はなくなっています。

5はエンド病変だったのか?
根尖性の歯根破折であったけれども根管治療の結果としてX線透過像がなくなったのか?
いずれにしても抜歯とはならず歯を救うことができました。

15JUL

歯根破折とレントゲン像

2007年07月15日

レントゲンでは2次カリエスにみえるが、クラウンを撤去してみたら実際には歯根破折だった例です。橋本X20のコピー.jpg
頬側に破折線がみられます。まだ感染はしていないため歯周ポケットはありません。

歯周治療のメインテナンスを13年間持続している患者さん
堀田の破折.jpg
近心みられる2次カリエス様のXP透過像は歯根破折でした。

レントゲンだけでは歯根破折の診断は難しく確定診としてマイクロスコープが有効です。

13JUL

病理標本2

2007年07月13日

歯根破折したものを輪切りにした切片です。
完全に分かれた破折片の他に根管側から破折が始まっているのがわかります(黒矢印)。
切1.jpg
破折していない遠心根でも同様に根管側から破折が始まっているのが確認されました(青矢印)。
順2.jpg
象牙質内部に破折が始まっている部分もありました。
象牙2のコピー.jpg

12JUL

病理標本

2007年07月12日

マイクロスコープ下20倍拡大で歯根破折を確認した右下第二大臼歯の病理標本(長岡市 依田洋明先生による)です。
切片.jpg
これを強拡大してみると
強拡.jpg
根管側に青矢印で示す青く染まる細胞は、細菌感染していることを示すそうです。つまりこの破折線は病理切片を作ったときにできたものではなく抜歯以前から、また歯根膜側(外側)ではなく内側(根管側)から破折が始まったことがわかります。

10JUL

20倍拡大画像

2007年07月10日

破折線が確認され,その延長線上にフィステルがみられます。
破折拡大.jpg
肉眼ではみえない破折線がマイクロスコープで発見されることがしばしばあります。

03JUL

歯根破折

2007年07月03日

歯根破折、それはメインテナンスをしてゆくうちに歯科医の誰もがぶちあたる壁であり頭を抱える未解決にして永遠のテーマなのです。今回、'07臨床歯科を語る会テーブルクリニック「歯根破折の早期発見」のテーマでマイクロスコープをどう活用するかというプレゼンテーションをさせていただくことになり、準備のなかで担当者のI先生と打ち合わせをするなか「破折歯の病理切片を観察したらどうだろう!?」ということになりました。かなりマニアックな話になってきましたが、スクープ映像が飛び出すかもしれません。当日みてのお楽しみです。
破折歯.jpg

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