院長ブログ

カテゴリ「外傷」のブログ記事

07APR

歯の外傷

2018年04月07日
全国の高校に配布される学校保健ニュース「歯の外傷が起こったときの対処と予防」というポスターについて内容の監修と破折・脱臼・脱落・それぞれの整復後の症例提供 を依頼された。
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               こんな感じがいいのかな。
12NOV

保育園児の外傷

2014年11月12日
子供の歯の外傷は休み時間や放課後に起こることが圧倒的に多いので、歯科医院はお昼休みや終業後の時間帯にあたることが普通です。
昨夜、帰りの後片付け中、電話がなり保育園で園児がでんぐり返しをしていて顔面をぶつけ、歯を脱臼したとの由。来院されるまでに少し時間があるのだろうと私は奥の部屋で所用を済ませていました。
診療室で話し声が聞こえるようなので出て行くと、つきそってきた保育園の保母さん、駆け付けて動揺し狼狽するお母さんには待ち合い室で待ってもらい、受傷して泣き叫ぶ園児をなだめる者、外傷処置のマニュアルどおり写真撮影、レントゲン撮影の準備ときびきび動いているスタッフらの姿がありました。
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私が顔を出した時にはすでに必要な道具も揃って準備万端、慌てず騒がず落ち着いて脱臼した歯を歯槽窩に整復し、屈曲して適合させたツイストワイヤーをスーパーボンドで止めて止血を確認したら一件落着。「がんばったね〜!よかったね〜!!」と我が子を抱きしめるお母さん、でした。
 迅速で正確に完璧な準備をしてくれていた我が医院スタッフなかなかやるもんだ、たいしたもんだと自画自賛でした。
19JUL

小児の外傷:縁下に破折

2014年07月19日
10歳男児。1W前転倒して顔面強打、歯冠歯根破折でかかりつけ医を受診、口腔外科に紹介、骨縁下に破折が及び保存不可能〜抜歯の診断をうけたそうです。お母さんはそれに対して納得いかず、なんとかならないかと調べて当院に来院されました。
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11は根管治療が開始されていました。右上2は既に失活、しかし左上2はVital+でした。すぐに211の根管治療を開始しました。右上1はこのままでは歯冠修復できずエクストルージョンで破折線を骨縁上2mmまで引き上げることが必須ですが、保存は可能なはずです。
いまこの年齢で抜歯したとなれば、そう遠くない将来、この子の口のなかは悲劇的なことになる事必至です。次回からマイクロスコープ下で確認しつつ渾身の保存治療に取り組む所存です。


08FEB

Ankylosis(置換性吸収)からの脱出

2011年02月08日

当時17歳女性。スキー場でスノーボーダーと衝突し左上2を完全脱臼した。ゲレンデにて脱落した同歯牙を探すのに時間がかかり、1時間30分後にふもとの歯科医院へ持ち込み再植(その後転医)。生着はしたものの数カ月後には置換性吸収が始まった(赤線)。%E9%AA%A8%E6%80%A7%E7%99%92%E7%9D%80%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%84%B1%E5%87%BA.jpg
保存は断念し抜歯して犬歯の近心移動を開始(矯正治療は寺田矯正歯科医院寺田康子先生による)。犬歯には小さな吸収像(黄線)がみられることから歯冠を削合しつつ同部位を骨縁付近に位置するまでエクストルージョンを依頼した。6年後の現在、吸収像に変化はない。犬歯近心は「表面吸収」もしくは「一時性置換性吸収」と考えられる。

05JAN

生活歯の歯冠破折予後

2011年01月05日

'06 2友達とぶつかって生活歯を破折した13歳女児、露髄しています。歯髄覆罩し破折片を接着。
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その後残念ながら歯髄は失活、4年後に接着片脱離で再来です。今度は破折片を飲み込んでしまった、との由。歯頚部の変色はいたしかたないが、顕微鏡下で渾身のCR充填で歯冠を回復しました。外れたら同じことをするだけです。
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まだ17歳。もうあと数年は歯冠補綴は先送りしたい。

16JUL

傷は絶対消毒するな!

2009年07月16日

臨床歯科を語る会に出席するため午後休診しようとしていた'09 7.3午前中に外傷で急患。
露髄を伴った歯冠破折と下口唇裂傷です。
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歯の治療は本業ですから顕微鏡下で生活歯髄切断と仮充填をさっさと済ます。
口唇の傷については夏井睦先生の話をNHKためしてがってん!で見たことを思い出し、「洗うだけで消毒しない。乾燥しないよう」にこのようにしました。講演を聞く前だったのでいまひとつ理解不十分でした。
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5日後。(上)保湿不完全だった部分は少し瘡蓋になってしまいました。
(下)正しくはこうするのです。水で洗ったあとワセリンとサランラップで保湿。以前は瘡蓋になった方が治りが早いのだと思っていましたが、それは逆。遅いのです。
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11日後。
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前歯のほうはレジンを形態修正して完了。それより唇のほうが気になるとは!開業以来20数年にわたり抜歯後の消毒に使っていたアクリノール、ヨードチンキ等はすべて廃棄しました。ワセリンとサランラップは医院と自宅に常備です。

05MAY

休日夜間診療より

2009年05月05日

受付時間もそろそろ終わりかと思っていた9時30分過ぎに外傷の患者さんがみえました。40歳代女性、神奈川県から立山黒部アルペンルート観光に来られたそうです。富山のホテル玄関前で転倒し顔面を強打。11、21が歯根破折(骨縁下)、右上2露髄を伴う歯冠破折していました。破折片があれば接着するから探して欲しい。投宿先ホテルスタッフらが夜の暗がり大捜索となりました。半ば諦め次の手を考えていたころ,発見!の連絡。処置を終わったのが11時過ぎでした。ヤレヤレ。当院においでいただければマイクロスコープ下でもっとずっときれいに仕上げられたのに、これは救急につきいたしかたない。
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(写真は「立山黒部アルペンルートオフィシャルガイドHP」より引用)
事故とはいえ、この方にとってせっかくの富山観光が台無しでした、、、。

18FEB

歯冠破折+亜脱臼

2008年02月18日

13歳男児。バスケットボール中に受傷した。
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右上1露髄を伴わない歯冠破折、左上1亜脱臼。歯髄の生死は現在のところ不明
持参した破折片を接着しツイストワイヤーで暫間固定
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以後経過観察
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歯髄治癒を予想

22OCT

歯の外傷

2006年10月22日

外傷の患者さんを拝見するたびに脳裏に蘇るシーンがあります。
ラグビーの試合中、私と衝突した相手チーム背番号1が歯をぶつけて右上1を脱臼してしまいました。私は相手キャプテンに「ゲームに邪魔だから早く退場させろ」といいました。するとその選手がむっとして「(退場しなくても)できます!」といいその歯をパンツのポケット(当時ポケットつきパンツが流行った)にいれてスクラムに戻ったのです。私は敵ながら「おう、Nice Fightだ!」声をかけました。試合中のことなのでお互いエキサイトしていましたが、でもよく考えてみると恐ろしいことです。すぐ整復すれば生着したはずなのに、、、。
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 あれから20数年、歯科オタクのはしくれになっているいま目撃したならラグビーの試合なんかすぐ止めさせるに決まっていますが、当時は歯よりも大事なものがあったのでしょう。今頃彼の前歯は、、、。

20OCT

根未完成歯完全脱臼後12年経過

2006年10月20日

小学校5年生男児。転倒して右上中切歯を脱臼し急患で来院 
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整復後、ツイストワイヤー&スーパーボンドで固定
生着を確認し約一ヶ月後から根管治療開始した。
根未完成歯のためビタペックスによる暫間充填で根尖の閉鎖を待つ
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Apexificationによる根尖完全閉鎖を確認してガッタパーチャ根充95 6の.jpg

受傷から12年経過し無事に機能している。根充剤が溶出したようだが、根尖は硬組織による閉鎖がなされていると思われる。
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03AUG

打球で脱臼

2006年08月03日

17才♂高校球児です。
前日夕方、ノックの打球を口で(!)受けてしまったそうです。右下2が脱臼し、大きく変位。矯正治療が終わってリテーナーとしてのワイヤーを下顎前歯舌側に貼付けてあったのが折れ曲がり、でもそのおかげで歯は抜けずにすんだようです。脱臼した歯は自分の指で整復して練習に戻ったんだそうです。高校球児のド根性というべきなのでしょう。
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右下2近心にみえる歯根膜腔の拡大が3ヶ月後にはすっかり治っています。さすが驚くべき回復力!

ところでこの子、3歳児当時から来院していてフッ素塗布なんぞやっていました。あまりに小さくて自分でチェアーにあがれず、私が抱っこしてのせていたくらいでした。ところがいまや180数センチの見上げる長身に成長しました。守備のいい彼は昨年、2年生外野手のファインプレーとして写真入りで新聞に取り上げられていました。3年生の主力となった今年、なんと県大会で優勝して来週は甲子園大会なのです。うれしいですね〜。これが我が子なら休診してでも応援に駆けつけたいところです。
富山県代表F岡高校を応援しましょう!!

26JUN

歯冠破折処置2週間後に

2006年06月26日

来院した小学校3年生。実は受傷直後、歯科に破折片を持参して受診したとのことですが、前医は「どうせひと咬みで外れるだろう」と接着はせずCR充填。お母さんは、他の誰かがなんとかしてくれないかと破折片を保管していたとのことでした。そんなわけで時間をおいてですがわが尊敬する同僚T先生の紹介で来院しました。
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持参した破折片を接着するかどうかを考えるうえで本人とお母さんとに伝えたかったことは
1。みっともないし対合歯の挺出も防ぎたいから、歯冠の回復はしたほうがいいと考えます。ただし接着剤で張り合わせてあるだけなので外れる覚悟は必要です。変色もするでしょう。
2。でも成長が終わるまで歯を削ったり被せたり、神経をぬいたりしないほうがいい。
3。もしうまくいかなかったとしても原状(歯冠は回復せず充填のみ)にならいつでも戻れるから、トライする価値はある。何度も外れて困るようなら、それからCR充填を考慮するのもよい。

前医による処置は、歯髄保存の観点からは成功といえるのではありますが、2w後とあってすでに数mm上顎中切歯が挺出していて咬合調整が必要でした。マイクロスコープ下で破折片を接着しました。
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どこまで真にご理解いただけたか不明ではあるし、いつ外れるかどうか予後の見通しもわかりません。お近くの方であればもし外れたらいつでも再接着するからすぐいらっしゃい、ともいうのですが、今回は遠方からみえたのでそうもいかないでしょう。ずっとフォローアップして経過観察したいところではあるのですが。

成長を終えるまで、なんとか時間稼ぎをしてほしいものだと切に願うところです。

19JUN

交通事故から13年後に審美補綴

2006年06月19日

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‘93年。この患者さんが10歳、車にはねられて意識不明の重体となり、気がついてみたら前歯が欠損していました。退院後、主治医であった寺田矯正歯科医院http://www.terada-ortho.jp/寺田康子先生を受診したそうです。両隣の歯を削ってのブリッジは先送りにするため、レジン歯をはりつけることでスペースと最小限の審美性は確保し成長が終わるのを待つことになりました。レントゲンでわかるとおり、歯髄腔が完全に閉鎖しています。
事故で前歯を失ったことは残念でしたが、すぐに幼弱な前歯を削ってブリッジにするのではなく侵襲の少ないレジン歯の接着でしのいできたことはとても大きな意義がある素晴らしい判断です。早期にブリッジにしていたら、支台歯の2次カリエスのリスク、またそのやりなおしを繰り返すうちに歯髄をとることになっていたかもしれませんし、歯頚部ラインの変化も当然考えられます。健全な歯を削る時期は遅ければ遅いほどよいにきまっています。これまで何度か脱離や新製もしてきたのでしょうが、最初の寺田先生の(いまでいうMIとしての)診断とその継続、そしてそれについてきてくれた患者さんに最大級の讃辞を送りたい。最良の選択肢です。

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そして13年後。
「結婚式の日取りをきめることになった。人生最良の日にとびっきりの笑顔の写真を撮れるようきれいに治してほしい」というのが今回の主訴です。いまが補綴に踏み切るタイミングでしょう。
 逆に、例えば結婚式当日朝になって急にレジン歯の接着が外れたとしたら、患者さんはもちろん、術者としても生涯後悔することにもなりかねません。ここはあらん限りの知識と技術を振り絞って、最良の方法を選択してあげるべきです。
長い役目を終えたレジン歯を外し、キャスタブルセラミクスのブリッジで修復を行いました。Congratulations!

16JUN

完全脱臼と予後14年

2006年06月16日

Aちゃん4年生がお昼休みに転倒して歯を脱臼してしまいました。'92 4月のことでした。
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わずかな粘膜で口のなかにぶら下がっていましたが、幸い歯槽骨の骨折は伴っていなかったので整復することは比較的容易でした。
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このあと根管治療を行い、歯は失わずにすみました。

それから時が経ち、14年後。小学生だったAちゃんは20代になっていました(そりゃそうか)。
外傷歯の経過としては良好で、脱臼した2歯はずっと機能し続けています。
ただいかんせん、失活した歯の色は変色がすすんできました。こんなときこそホワイトニングの適応症です。
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15JUN

露髄を伴った生活歯の歯冠破折

2006年06月15日

中学生の女子。養護の先生の指示で破折した歯冠を牛乳に浸けて持参されました。赤い歯髄が見えます。
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顕微鏡下でケミカルサージェリーを行いました。1時間かかりましたが、歯髄を生かしてあげることができました。まだ2週間と経過は短いですが、現在のところ経過良好です。しかししょせんは接着にすぎずこの先何度か外れてくることは覚悟しなければならないと思っています。まだ12歳、成長が終了するまでは失活しないでましてや歯冠は削らないでいきたいものです。
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