16JUL
組織学の教科書から
2015年07月16日
「エンドトキシンはセメント質のごく表層にだけ沈着しているから水洗で十分。超音波スケーラーで洗い流せばよい。」とする説に反対するものの一人です。
「セメント質は歯頚部側1/3の無細胞セメント質と歯根側2/3の有細胞セメント質に分けられる。(治癒の病理:下野正基)」をもとに、例えば「PPD<5mm程度までなら超音波スケーラーで省力化できれば有効」といってもいいでしょう。でもそれ以上(PPD>6mm)となれば有細胞セメント質に伝搬したエンドトキシンを除去することはできず歯周治療の決定版にはなり得ません。
それはいいといてもう少し決定的証拠がないかなあ、、と思い不勉強だった学生時代の組織学の教科書をパラパラみていたらこんなすごい写真を見つけました。
無細胞セメント質が歯頚部にある遠心(青)に比べ、近心ではCEJ付近までしっかり有細胞セメント質(赤)です。こんな症例もあるんですね。ここはやっぱりしっかりしたルートプレーニングが必要といえますね。さらに根分岐部はすべてびっしり有細胞性セメント質(緑)となっています。
ひとたび根分岐部病変となればその予後がよくないのは、器具のアクセスが良くないというこのみならず、これが大きな原因と言えるようです。