05APR
「大海を漂流するボート」
2011年04月05日
阪神大震災が起った際、被災者の救援に取り組んだ地元の医療関係者らは待ったなしの救護活動に駆り出された。そのうち「悪夢にうなされる」などと訴え心身ともに消耗が目立つようになってきた。〜中略〜被災者が心に受けた衝撃を追体験したためだという。〜中略〜誰もが無限のエネルギーを持って活動を続けられるわけではない、後方支援に当る私たちは、救援する側にも「救助船」が必要であることを心にとどめておこう。 '11 4.5北日本新聞コラム「天地人」より
先日、診療所が流された被災者である石巻M先生と電話で話しました。「震災直後は警察医でもある自分ひとりで毎日300~400づつ運ばれてくる遺体を前に途方にくれました。でも最近は山形、新潟等近県の歯科医が応援に来てくれてる上、新たに運ばれてくる遺体は50体くらいに減って(!)随分楽になりました。ご遺体を早く遺族の許に返してあげたい一心で頑張ってます」とのことでした。聞いてるだけで目頭が熱くなる想いがしました。学会から「検視作業の規模を縮小する」との知らせがきてはいますが、彼の心情を想えば自分も現場に行かなければ収まりがつきません。救助船を出さないで口先だけで「いま自分ができること」なんて弱腰なフレーズは聞き飽きました。