平蔵谷
私には目覚まし時計は不要で体内時計で何時にでも思ったとおりに起きられる。「夜明け前に出発」予定どおり3:30に眼が覚めた。ところがなんとヘッドライトが点かない。ええいクソ!仕方がない、ザックを整え靴ひもをきつく縛って待機。4:15ようやく空が白みはじめた。ではそろそろ行きますか。30分で沢につきアイゼンを付けてガシガシ歩いた。今日は調子がいい。きっと昨日のニンニクが効いているのだ。振り返ると抜きさってきた2パーティー(赤矢印)がかなたに小さくみえる。
1時間で出合(注:沢と沢が交わるところ。「出会い」ではありません)についた。
上を見上げて「ウッシャ〜ッ、行くぞ〜!!」声を出して自分に気合いを入れた。きっとラグビーのキックオフのときと全く同じ顔をしていたに違いない。黙々登ること1時間、目標が見えてきた。あれが佐伯さんが教えてくれた「熊の岩」だろう。
右に巻いてからコルを目指すはずだ。でもかなりキツい、3歩進んで5歩休む。
もがくこともがくこと1時間、あれ!?あっけなく鞍部に出てしまったぞ!?それに長次郎雪渓には限られたエキスパートしかいないはずなのに、こんなにたくさん登山者がいるのは何故?ここはどこ??なんとそこはカニの縦バイのすぐした「平蔵のコル」だったのだ。
参ったなあ、どうりでなんだか様子が違うと思っていた。
剱を目指す登山者たちからは「あんなところをひとりで登ってるひとがいる、すごいね〜ってみてたんだよ〜!!」とヤンヤの喝采。いえいえ、谷をひとつ間違えただけなのです。