伝統技能伝承
当代超一流といわれる棟梁のシンポジウムがあるというので楽しみにしていました。法隆寺や薬師寺、錦帯橋の改修を手がけたという日本指折りの名工からは職種が違っても必ず何かしら得るものがあると思っていたからです。
「改修を手がけていると数百年前の職人の技術に眼をみはり驚嘆することがある。そこで息を呑み立ち尽くす若者は伸びる。考えられない奴はそれまでのこと」「江戸時代の釘でもひと磨きすればきれいに復元できる。そしてかつての職人と対峙する。『伝承してもらう』のではなく現場で視て感じて考えて身体で覚える」「誰からみられても(みられなくても)『素晴らしい仕事だ』と思われる手抜きや妥協のない仕事をする」「安普請は20年もてばいいのかもしれないが、自分は死んでも建造物は200年残る」「平成の大工として先人の残したものに学びながら自分にできる精一杯の仕事をし、200年300年後の大工さんたちに笑われないよう」etc.
いずれも中学校卒業後大工さんの見習いから叩き上げた職人ですが、さすが日本中のスーパートップの達人たちの「超一流の『品格』」を感じるに充分でした。
また日本中から馳せ参じた450人の鉋の技術の競演、5μ6μといえば紙の20分の1の薄さを競っているのです。今回10μ以下の鉋屑を出したのは41人、大会新記録が3μ(!)だったそうです。
自分の技術を極限まで研ぎすますための真摯な努力を重ねることは、まさしく仕事へのこだわり。歯科医(の多く)も見習うべきこと大!なのです。