外交官 奥克彦氏
2003年12月、日本人の外交官奥克彦氏がイラクで銃撃されたというニュースで、早稲田ラグビー部OBという文字をみたとき、以前ラグビーマガジンに連載されていた「オックスフォード通信」の筆者だ、とピンときました。
奥氏も宿沢氏同様、ラグビーだけのひとではない。高校ラグビー花園出場〜早大政経学部入学ラグビー部〜外務公務員上級試験合格〜オックスフォード大学留学、ラグビー部で日本人として初めて公式戦出場 とまさに文武両道なのでした。奥氏の天性の美点のひとつは国籍問わずだれとでもすぐに親しくなれること、イラクでわずか半年の間に,アメリカ人英国人オランダ人イラク人、、、どこへ行っても友達がいて周囲は驚かされたそうです。いろいろなひととのつながりをつくってゆくコミニュケーション能力が抜群なのです。
奥氏がテロリストの目標リストに載っているといわれるなか、イラクでの外交官としての活動で強い意志を表わす象徴的な言葉は「日本人が口先だけの国際貢献を唱える連中なのか、リスクを冒してでもイラクを助けようと思っているのか、ここは正念場です。ラグビーに例えれば口先ばかりで全くタックルにいかない連中と試合をしているようなもので信用以前の問題。大胆かつ繊細にやろうと思っています」でした。でも奥氏は英雄ぶって死んだのではない、自分のやるべきことをやろうとして徹底的にがんばりすぎたのでしょう。
ラグビー界も外交上も日本は貴重な大樹をひとつ喪った。
この本の著者松瀬学氏の早大プロップ時代のプレーもよく憶えています。前著「早稲田ラグビー再生プロジェクト」はとても好著でした。