院長ブログ

21DEC

口腔ケアの武器

2006年12月21日

意識の戻らないKrに対して、うかつに口のなかに指をいれれば思いっきり咬まれてしまい危険です。入れ歯の方であれば外せば問題ないのでしょうが、ここ20年間の私の治療やメインテナンスの成果で入れ歯ではないうえ咬合力は強大です。バイトブロックを咬ませてもいいいのですが、それよりも歯ブラシを2本使いこじ開けながらもう一本で磨いてあげるとうまくいくことがわかりました。名付けて「ツイン歯ブラシ法」。ガーゼや「くるりーなブラシ」などでは柔らかくて有歯顎者のバイオフィルムの機械的除去には適しません。
困る事は舌を咬んでしょっちゅうかなりの出血があるため血餅がたくさん固まっているうえ、完全に口呼吸なので口腔内がすぐに乾燥してからからになるのです。水分を含ませたいのですが、それがうまくいかない。ゼリー状の「オーラルバランス」も試しましたが、足りません。意思の疎通ができる方なら「はい、うがいしてください」と言えば数秒ですむことなのですが。かといって寝たままの状態で液体を流しこめば即、誤嚥することは間違いありません。そこでポータブルバキュームを持ち込むことにしました。これは大成功。少し横を向かせて濡らした歯ブラシを使いながら反対の手でバキュームを使うととてもうまくいくのです。家庭用ではなく往診用ですから吸引力は歯科のチェアーとほぼ同程度。思い通りに吸い取れます。ただし困る事は、スイッチが指押し式なので術者がひとりで使う場合はバキュームを持つ手で一緒に持たなくてはならずとても不便なこと、あまりに重くて持ち運びには不向きなこと、価格が200万円位と高価なことです。
3種の神器.jpg
現在、Krの口腔内は口からものを食べてもいないのに執拗なブラッシングをしているのですから、そんじょそこらの健常人よりよほどきれいです。いつくるかもわからない「最期」まで必ず持続させる決意。

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