統一テーマ「垂直性骨欠損」
スタッフミーティングに臨む前に参加者にひとつの症例を提示し、その予後を予測してもらいました。
症例:’93初診時、右下45遠心に垂直性骨欠損がありプロービングデプス>8〜9mmでした。(当時の)新人DH Kによる非外科的ルートプレーニングにてPD2〜3mmに減少し、歯槽骨頂線が明瞭になりました。当時はそれを骨吸収の停止すなわち安定と考え一応のゴールの目安としていました。でも「その後」はみてはいませんでした。
「それから13年後の2006年、この骨はどのように変化したでしょう?」というのが宿題です。
それを頭のすみに残しながら各医院が垂直性骨欠損への対応としての症例を提示しました。また骨欠損とレントゲンの注意事項を川上先生斉藤先生が模型実験で示してくれました。
かわかみ実験:レントゲンでの骨頂線の安定のイメージ
さいとう実験:扁心投影でこれほど違ってみえる
これなど「よくもまあここまで、、、」といつもながら見る者を驚かさずにはおられない手の凝りようですが、レントゲンの規格性の重要さもよく理解できます。
さて宿題の症例にもどって、13年後の解答です。
レントゲン上でもリエントリーでの肉眼所見でも骨欠損は認められませんし、ふたつの実験結果からの反証とも異なると思います。
今回の症例では咬合調整は一切行っていません。ルートプレーニングのみによる大きな治癒の可能性を再確認しました。プロービングデプス、デンタル上での骨欠損とその変化、歯周病の治癒の様式etc.いくつものテーマが示唆されると思います。いずれも「剱Basic」として繰り返し学んでいることです。
垂直性骨欠損には咬合性外傷を伴うものがおおいため、咬合調整をして自然移動をはかり骨レベルを揃えるという手法がとられる事が多いですが、非可逆的処置である削合とくに抜髄を伴うときなどは、そのリスクベネフィットバランスをよく天秤にかける必要があることは当然です。