院長ブログ

06OCT

「武士道」

2006年10月06日

American Dentistryと日本の歯科医療、アメリカ人歯科医と日本人歯科医の間でどうしてこうも歯牙の保存と抜歯の基準が違うのだろう?
よくいわれる経済性、予知性と訴訟社会、健康保険制度の違いの故なのか。
そんな疑問を解決してくれるヒントが2冊にちりばめられていました。
武士道〜.jpg

歯科医の考え方というよりも両国国民の心の奥底に歴史によって育まれ根付いた国民性だと思われます。
ゴールドラッシュを求めて海をわたって上陸して合衆国を築き、有色人種は「安い労働力としての商品」でしかなかったアメリカ人にとって、純粋に「お金」を追い求めてAmerican Dream を成し遂げることはわかりやすい目標だったし「強いアメリカ」において将来的にもぶれることはない正義なのです。
近い将来、世界的に歯科の目が「予防」に向いてもアメリカだけはおおかわりしないのではないでしょうか。 
 かたや私たち日本人には「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」に鑑みてしまう心根があるのです。これら武士道の精神は、明文化された教本があるわけではないのですが、なにかにつけて子供の頃から教え込まれて私たちの身にしみついた教えといえます。「商人道」とは異なるので「武士は喰わねど高楊枝」だったり「二言はない」ことにもなります。

 どちらがいいか悪いかでもなく、歯科医のサイドのみならず患者さんサイドも同じ考え方なのですから、それでいいのでしょう。
でも自分が患者さんだとしたらどうでしょう?私だったらどちらの治療を選択したいかはっきりしています。自分がAmerican Dentistry を直輸入したような歯科臨床やそんなグループに、言葉では説明できない違和感をおぼえなじめない訳がやっと理解できました。
 でもその一方で和魂洋才。考え方は別チャンネルとして、よりよい技術や材料をいち早くいただいてきて適応症によって使い分けることができるなら、これは金棒(かなぼう)、鬼手仏心でしょうか。

「離れたところの違う考え方を通して自らの足許を見つめ直す」目的の一部は今回のアメリカ行でかなったようです。
「武士道」。日本が世界に誇れる名著です。難しい本ではありませんので、みなさんぜひご一読のほど。

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