交通事故から13年後に審美補綴
‘93年。この患者さんが10歳、車にはねられて意識不明の重体となり、気がついてみたら前歯が欠損していました。退院後、主治医であった寺田矯正歯科医院http://www.terada-ortho.jp/寺田康子先生を受診したそうです。両隣の歯を削ってのブリッジは先送りにするため、レジン歯をはりつけることでスペースと最小限の審美性は確保し成長が終わるのを待つことになりました。レントゲンでわかるとおり、歯髄腔が完全に閉鎖しています。
事故で前歯を失ったことは残念でしたが、すぐに幼弱な前歯を削ってブリッジにするのではなく侵襲の少ないレジン歯の接着でしのいできたことはとても大きな意義がある素晴らしい判断です。早期にブリッジにしていたら、支台歯の2次カリエスのリスク、またそのやりなおしを繰り返すうちに歯髄をとることになっていたかもしれませんし、歯頚部ラインの変化も当然考えられます。健全な歯を削る時期は遅ければ遅いほどよいにきまっています。これまで何度か脱離や新製もしてきたのでしょうが、最初の寺田先生の(いまでいうMIとしての)診断とその継続、そしてそれについてきてくれた患者さんに最大級の讃辞を送りたい。最良の選択肢です。
そして13年後。
「結婚式の日取りをきめることになった。人生最良の日にとびっきりの笑顔の写真を撮れるようきれいに治してほしい」というのが今回の主訴です。いまが補綴に踏み切るタイミングでしょう。
逆に、例えば結婚式当日朝になって急にレジン歯の接着が外れたとしたら、患者さんはもちろん、術者としても生涯後悔することにもなりかねません。ここはあらん限りの知識と技術を振り絞って、最良の方法を選択してあげるべきです。
長い役目を終えたレジン歯を外し、キャスタブルセラミクスのブリッジで修復を行いました。Congratulations!